外交官のプロトコール
しばらくブログの書き込みをしませんでした。
来年度、つまりこの4月からなんと三重大学の理事・副学長をすることとなりました。情報・国際担当です。すでにその準備に追われている状況です。
その準備の一環でFD関係のやりとりをしていてちょいと思い出したことを以下に書きます。
私は以前は科学技術庁管轄の特殊法人日本原子力研究所(当時)に勤めていて、そこでは通常の研究員から副主任研究員(40歳頃)、さらに主任研究員(50歳頃)に上がる際には昇進試験と、それをパスした後には研修がありました。入所当初にはオリエンテーション、初任者研修がありました。
昇進試験はそれまでの研究成果をレビュー論文として研究所報告にまとめることと、その内容についてのプレゼンをすることからなります。プレゼンは所長や理事を前にぴったり10分でするというものです。1秒でもオーバーすると大幅減点となります。
研修は富士山麓の保養所で1泊だか2泊したと思います。その研修のメニューの一つとして記憶に残っているのが以下です。研究所の人事担当が外務省に依頼したのでしょう、外交官の卵らしい若い人が、我々研修生(年上で理学博士や工学博士で研究一筋の人達)に対して「2対2で売り手と買い手に別れてある物の値段交渉をして下さい。」という風に指示を与えました。何がなにやらわかりませんでしたが、それぞれ相談し、値切ったり拒んだりを繰り返して全グループで値段が決まり、一休みしたところで始まったのが標記のタイトルの講演です。講演の内容は一言で言いますと「交渉とは自分が一番有利な条件を追求しあうことではない。双方が一番満足できる接点を探し求めることである。」ということです。他の研修内容は忘れてしまいましたが、これは忘れなくて結構その後に役立っているように思います。三重大風に言いますと私のような専門馬鹿にコミュニケーション力のスキルの一つを伝授いただいたと言うことだと思います。
大学に異動して驚いたのは着任後何のオリエンテーションも研修もない、昇進する際も書類審査だけ、研修がないということです。着任時、引っ越しと諸々の手続きが大体終わったと思ったらなんらの説明もなくいきなり「明日から授業をやれ」でした。大学内でも上記のようなオリエンテーション、昇進試験や研修があれば大学の方針を理解し、もっと周りと協調しつつ活躍されていたのではないかと思われる方がぽつぽついらっしゃると感じます。
非常勤講師についても三重大学の教育方針(4つの力やPBL)を理解いただく機会(三重大学の教育方針を書いたパンフを渡すなど)して意識いただく必要がありますね。これは三重大学の教育方針を周知、拡げていくことにもなります。