金曜日, 6月 20, 2008

等角図に熱中

三重大学は3年次9月の4週間教育実習に続き4年次の今の時期に2週間教育実習をするのですが,その教育実習生の授業参観時に標記の状況に出くわしました。中学一年生の技術・家庭科技術分野の製図に関する授業です。

前時は(立体を一面を寸法どおりに描き奥行きを右斜め上45°の線で表現するという)キャビネット図のかき方を学習し,本時は(立体を右45°上方45°から見たような形で表現する)等角図のかき方の学習でした。

先回のキャビネット図のおさらいと今回の等角図のポイントの説明は普通の授業でした。そのあとプリントの問題に取りかかってしばらくして教室の様子が変わってきました。プリントの問題は3問で1問目は等角図風のスケッチから正確な等角図を作成するもの,2問目は等角図風のスケッチから正確な等角図を作成する点は同じだけれども斜めの面が追加されたものでした。等角図の基本は簡単で,ここまではほぼ全員がすぐできて,おそらく「等角図なんて簡単,完全にマスターした」と思ったと思います。問題は3問目です。キャビネット図風に描かれた平屋の日本家屋風のスケッチを等角図に描き直すというものでした。この問題は

・2問目までと異なり,キャビネット図風のものを等角図に描き直す
・2問目の斜めを表現する線の始点と終点は斜めの面でない面から簡単に求められたのに対し,3問目は独自に求めないといけない
・それを求めるには補助線を要する

ということで,難易度の点で2問目からのギャップが大きく,つまずくのではと予期していました。
予想どおり,しばらく個別に考えたり周りと相談していたりする時間が続き,次いで「わからん」「ムズい」という発言が続きました。その後「先生,これでええの」「ちょっと違う」,「先生,できた!」「惜しい」,「はい,先生」「全然ちゃう」というやりとりが続いて段々教室全体が盛り上がってきて,後半は収拾がつかないほどの挙手の嵐となりました。

「先生,見て」「あとで答え合わせをするので,できたと思ったら追加プリントの問題に取りかかって下さい」「いやや,先生に見てほしい」

「できた!」「正解!」「やったー!」「出来た人は分からない人に教えたって」

(あちこちから)「先生,教えて」「どうしても分からない人は飛ばして,追加プリントの方をやっていて下さい」「いやや,これをやりたい」

といった調子で,島田紳助のクイズ番組みたいな雰囲気でした。授業参観者もみんな見ていて面白かったと言っていました。時間配分にミスがあって2問目の答え合わせが終わったところでチャイムが鳴ってしまったのですが「肝心の3問目を教えてくれな困る。急いで答えを描いて。」と生徒に請われて時間延長して答え合わせをするおまけも付きました。
わかったつもり,すぐできそうでそうでない課題設定と,授業の持って行き方次第でこのようになるのですね。

技術分野ではロボット作りの作業でうまく持っていくと生徒が熱中するのは知られています。立体的なものを扱うのが普通の技術分野において,どちらかというと地味かなと思う製図の学習でこのように生徒が熱中するのを見て興味深く思いました。チクセントミハイの言うフロー状態というものですね。