日曜日, 6月 10, 2007

運営費交付金




教育再生会議の平成19年6月1日付けの報告「社会総がかりで教育再生を・第二次報告~公教育再生に向けた更なる一歩と「教育新時代」のための基盤の再構築~」には

具体策3 国立大学法人運営費交付金の改革
「運営費交付金の配分については、①教育・研究面、②大学改革等への取組の視点に基づく評価に基づき大幅な傾斜配分を実現する。その際、第三者評価たる国立大学法人評価の結果を活用する。」

と書かれています。

現在の国立大学法人運営費交付金は傾斜配分されていないのでしょうか。平成19年度の運営費交付金は以下のようになっています。

 最多 東大   889億円
 我が 三重大  118億円(東京大学の13.3%)
 最少 大阪外大  13億円(  〃   1.5%)

学生定員等が違うにしてもこれは十分傾斜配分ですよね。

三重大学で言うと運営費交付金から研究費として各教員に回ってくるのは一人当たり数十万円。パソコンとソフト,書籍他あと少々買えばなくなる金額です。といって教育にかかる予算は削れません。人件費は大まかにいって一千万円/年ですからこれを削りに削っています。勢い,教員も職員に疲労感漂う毎日となっています。つまり現在の運営費交付金はほぼ必要最低限の「維持費」であって競争的と言える部分がありません。

問題は諸外国と比べて教育にかける予算がとても少ないことにあります。私は日本は教育予算を一桁増やしても良いと考えています。これは決してオーバーではありません。各種の助成金を見てみますと,経済産業省関係の金銭感覚と教育関係の金銭感覚が一桁程度違うことがわかりましたし。

国立大学の統合・再編と絡めての議論かなと思います。かつて国立大学は駅弁大学などと揶揄されたことがありますが,昨今の地域連携を考えると各県にある国立大学法人はとても良いシステムなのでは?みんなが旧帝大系のような大学になろうとするとそれは予算的に無理があるでしょうけれど,日本全体としてみれば中堅,地方としてはその地方をリードする大学として各県1つの国立大学法人はその意義をあらためて確認されて良いと思います。

教育学部の統合問題が騒がれましたが,あの騒ぎで教育学部の地域連携の重要さが理解されました。教育学部では地域連携は当たり前で,昔からなされていたことですからね。

統合されて地方の国立大学法人がなくなってしまってから「昔の駅弁大学システムは良かった」ということになりませんように。